「各地方気象台での目視観測終了」が2024年3月のニュースになっていました。今後の観測や試験への影響はどうなるのでしょうか?
まとめていきます。
地方気象台の目視観測終了の概要
気象台での目視観測とは?
従来、各地気象台では、毎日定時に気象観測員が施設の屋上などで空模様を目視で確認し、主に【雲量・雲形・天気・視程】などの機械での判別の難しい現象をチェックしていました。
これを「目視観測」と呼んでおり、今回2024年の3月26日に廃止が決まり、機械による自動観測に切り替わっていくとのことです。
午前0時を除く、毎日7回・三時間ごとの目視観測が行われていました。
東京と大阪は引き続き目視観測継続
注意点としては全国一斉に廃止されたのではなく、東京・大阪では引き続き目視観測が継続されているということです。
数年前から、地方の目視観測は段階的に機械による自動観測に移行しているようでしたが、今回中枢となる仙台・広島・名古屋・福岡などの気象台においても移行が決定したとのことでニュースになっているようです。
各気象台によって歴史に若干の差はありますが「約100年以上続いた目視観測」の終了を迎えることとなりました。
目視観測終了となる地域
実は段階的に目視観測の終了は進められていたのですが、今回は地方の中枢を担う都市の大部分も終了が決定したということもあり、大々的に取り上げられています。
2024年3月26日付で目視観測が終了したのは以下気象台です。
- 札幌管区気象台
- 仙台管区気象台
- 名古屋地方気象台
- 新潟地方気象台
- 広島地方気象台
- 高松地方気象台
- 福岡管区気象台
- 鹿児島地方気象台
- 沖縄気象台
具体的な変更点
目視観測から自動観測になることで、具体的に何が変わるのかまとめます。
目視観測→自動観測になるもの
自動観測になる天気と大気現象一覧
まず、自動観測になる天気・大気現象一覧は以下です。
自動観測となる大気現象・天気一覧 |
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晴・曇・雨・雪・みぞれ・霧・もや・煙霧・雷 |
観測技術の向上により目視でないと確認できなかったような現象も機械で判別できるようになったようです。受験生の皆さんは各天気の定義や記号などがスムーズに思い出せるようにしておきましょうね。
視程観測
視程(どれくらい先まで目視で見通せるか?の見通しのよさ)観測が、「目視」から「視程計による自動観測」に代わります。
雷観測
雷も職員の目視や聴音により観測していましたが、これも雷監視システム(通称:LIDEN)と気象レーダーによる自動観測に変更となります。
LIDENなどは特に出題されそうですね、忘れていた受験生は思い出しておきましょう。
観測が終了となるもの
観測終了となる天気一覧
天気からは「快晴」と「薄曇」の観測が終了となります。
快晴は「全天における雲量の割合」薄曇は「上層雲と中・下層雲の割合」などで決定されましたね。さすがにこのあたりは目視でないと観測が難しいのか、観測が終了となります。
観測終了となる大気現象一覧
こちらは細かいので画像をそのまま貼り付けますね。
にじの観測がなくなるのもなんだか寂しいですね。雷鳴や雷光も聴音作業がないと観測ができないのでしょう。受験生のみなさんは各現象の記号や定義などはしっかり暗記できていますか?不安な方は再確認しておきましょう。
雲観測も廃止
雲量・雲形の目視観測も廃止となります。
雲の形や雲量は目視以外の確認法がないのでしょうがないですね。
ここまでが目視観測終了の概要です。では次に試験への影響をみていきましょう。
目視観測終了による気象予報士試験への影響は?
本報道の正しい呼称
受験生の皆さんは、今回の報道の呼称を正しく覚えておきましょう。
試験本番で出題された時、曖昧な覚え方だとまちがえてしまうことがあるので危険です。
正式には…
○○地方気象台における目視観測通報の自動化
です。
具体的な報道資料のリンクも貼っておくので一読しておきましょう。
現状はこれまで通りの学習で大丈夫
基本的にはこれまでのテキスト通りの学習で大丈夫でしょう。
上述したように東京と大阪では目視観測が継続されていますし、試験の特性的にもあまりにタイムリーな出題はないと思われます。
肌感覚ですが、改正内容などが試験に出題されるには、早くても大体1~2年かかるイメージです。今回は目視観測が継続されている地域もまだあるため、大幅な変更はないでしょう。
選択肢の一つとして問われる可能性はあり
「選択肢のひとつとして出題される」ぐらいの可能性は十分あります。
2024年4月現在、日本全国の気象台では目視観測がすべて廃止されている。正or誤?
選択肢としての出題例
みたいな感じですね。これは誤です、東京や大阪は2024年4月以降も目視観測は継続中です。
なので、ニュースの一つとしては頭の片隅に入れておきましょう。
直近試験では周辺知識の方が出題されそう
このニュースが2024年3月下旬のものになるので、最も近い次回の試験は2024年8月の第62回試験になります。
この62回試験やその次の63回試験などでは「目視観測終了自体」よりも「その周辺知識」の出題が考えられそうです。
今回のニュースは気象予報士界隈では結構センセーショナルな出来事です。メディアにも結構取り上げられているので、これに関連する知識の出題はあり得ると思います。
具体的には…
- 各天気の定義・記号
- 各大気現象に関する定義や記号
- 雲形記号や8分雲量・10分雲量に関する知識・雲量記号
などは専門・実技ともに問われてもおかしくないかなと思います。
上記はいずれも基礎知識ですが、抜け落ちたりさぼったりしている受験生も多いので、不安な人は再確認しておきましょう。
数年後は天気記号の廃止や改訂もあるかも?
かなり先の話にはなりますが、目視観測が完全に終了した場合、現行の天気記号や15種類の天気の定義などで使えなくなるものが出てきます。
ゆくゆくはこれらの廃止や改訂も考えられますが、現状はその心配は必要ないでしょう。
東京・大阪でも完全に目視観測が終了してからの話になると思います。そのころには、目視でしかできなかった観測も機械で出来るようになっているかもしれないので、そうなれば引き続き現行のものが使われるかもしれませんね。
過去問演習時は注意が必要!
特に専門知識の過去問を解く際は、その当時と2024年現在の状況が異なり、齟齬が生まれてくる可能性があるので、その点だけ注意しておきましょう。