合格に必要な学習時間数を増減させる各要因
前のページで紹介した僕の学習時間は
あくまで僕の場合の学習時間です。
受験生一人一人の状況によって必要な学習時間数は当然ですが変わってきます。
合格までに必要な学習時間を左右する各要因を挙げておくので、ご自身で自分に必要な学習時間を考えてみてください。
暗記力
まず、暗記力です。
僕は【暗記がかなり得意な方】だと思います。
純粋な記憶力だけでなく、暗記の仕方やコツなどの自分なりの学習方法・ノウハウも、これまでの人生で身につけていたのが幸いし、学習時間をかなり圧縮できたと思います。
暗記に自信のある人は、それだけ1000時間から学習時間を削ることができると思います。
特に暗記力の良し悪しは、学科試験において非常に大きな影響があります。
膨大な知識を効率よく・確実に暗記できればできるほど学習時間を圧縮できます。
僕自身は、平均的な暗記力の人の、2倍ぐらいの効率と精度で暗記はできるタイプだと思うので、それだけで学習時間は2分の1です。
暗記に対して自信も苦手意識もない受験生は1000時間。暗記が人一倍苦手な人は1500時間かかるかもしれません。
学習経験・人生経験
当たり前ですがこれまでの学習経験の多寡や人生経験の豊富さも、そのまま必要な学習時間の多寡に直結してきます。
気象予報士は、天気という日常に馴染みのあるテーマを扱うイメージが強いですが、そのイメージとは裏腹に気象予報士試験で学ぶ内容は、普段の生活ではあまり馴染みのない理数系の学問になります。
また、地球や自然科学をミクロからマクロまで様々な視点でイメージする力や、大気を立体的に捉える力、逆に平面的な画像や図・断面で理解しなければいけない力等、脳みその普段はなかなか使わない部分を駆使することになります。
馴染みのない学習内容と慣れない頭の使い方に、程度の差はあれど、どの受験生も四苦八苦することになります。
学習経験の多寡や人生経験の豊富さは、そういった【未知の領域に踏み込み進んでいく】際の進捗に大きな影響を与えます。
個人的な主観ですが【色々なチャレンジや経験をしてきた人】や【たくさんのトライ&エラーを繰り返してきた人】などは、気象予報士試験において、躓いてもどんどん学習を進めていけるんではないかなと思っています。
僕は、七転び八起きの人生だったり、行動力やチャレンジ精神はあるほうだったので、ほかの受験生に比べて学習時間を若干短くできたんではないかなと思います。
理系知識
これは言うまでもありません。
理系の知識は決して必須ではありません。
が、
有れば有るほど有利
です。
【原子・分子】【熱力学】【運動方程式】【状態方程式】【連続方程式】【力学】【静力学平衡】【放射】【遠心力】【表面張力】等々、たくさんの理系的知識が出てきます。
テキストを読む際、この理系知識を知っているかどうか・イメージできるかどうかが、理解力・学習スピードに大きく影響を与えます。
文系だから合格できない・理系知識を1から学ばないと合格できないということは一切ないので、必要以上におびえる必要はありません。
が、合格までに必要な学習時間を左右する一因になるのは間違いないので、自身の理系の素養がどの程度かも参考に学習時間の目安を考えてみてください。
ちなみに僕は、根っからの文系人間です。
高校での履修は、数ⅠAⅡBと科学・物理の基礎のみです。
地学は学んでいません。
なので、理系の受験生に比べると+50時間ぐらいは余計に勉強したような気はします。
気象センス・気象への興味
以下の記事でもまとめていますが、気象への興味や気象的センスの有無の差も学習時効率に影響を与えてくると思います。
気象への興味が強い受験生ほど、学習自体も楽しく捗るでしょうし、天気予報や、雲や空の写真にも積極的に触れていて、テキスト理解もスムーズに進むはずです。
また、日ごろから天気予報や天気図を見慣れているような受験生であれば、気象センスも自然と磨かれており、テキストで論理的に学ぶはずの内容が、感覚的に身についていて、そうでない受験生に比べてアドバンテージが作れていると思います。
僕は気象への興味が薄く、天気予報もほぼ見ない生活でした。
なので、特に実技試験において、気象センスのなさが足を引っ張った部分もあったなと思っています。
気象に興味を持てている・気象センスが備わっている受験生に比べ、そこを補うために+30時間は多く学習したんじゃないかなと思います。
筆記力
これは特に【実技試験】においてです。
75分という限られた時間の中で
【早く】【正確に】【判読できる最低限のきれいさ】【書き損じを少なく】
文字を書く力が求められます。
元々字がきれいな人やうまい人は、ここで苦労することはあまりないでしょう。
逆に悪筆・遅筆な受験生や、【漢字を正しく覚えない・書く習慣のない】受験生はここで苦戦します。
決して対策の一環として【書く訓練】を設ける必要はないです。
が、記述の際に【早くキレイに書かなきゃ】とか【この字で正確に採点してもらえるかな】なんて風に、必要以上に急かされたり心配してしまって何度も消しては書いてを繰り返してしまうと、回答時間を圧迫してしまいます。
きれいで読みやすい字をスラスラ書ける受験生は有利です。
僕は手先が不器用で、悪筆&遅筆だったので、ここで結構苦労しました。
回答用紙の小さい1マスの中に、きれいで正確な字を早く書けるように、過去問対策では一般的な受験生の2倍は意識して演習していたと思います。
僕が字を書くことが苦手でなければ【もっと楽に実技試験を突破できていた】と思います。
一度実技で不合格になってしまった第52回の初回試験でも時間不足のせいで、20点分ぐらい回答できずに失点していたので、もっときれいに早く字が書けるタイプの人間であれば一発合格できていたかもしれません。
まとまった学習時間
僕はフリーターなので、気象予報士試験に合わせて時間を調整することができました。
特に大きかったのは
【受験直前のまとまった学習時間】
を確保できた点です。
僕は、第52回試験では試験直前1ヶ月前は2日に一回は丸一日を学習のためだけの日にしていました。
第53回試験では1か月前はほぼ毎日を丸一日学習のために確保していました。
知識や技能の定着、回答センスや時間感覚の養成・ブラッシュアップ等は、反復訓練が欠かせません。
そして、反復するまでのスパンが短いほど、成長も早くなります。
なお、エビングハウスの忘却曲線を元にしたデータで、暗記学習の効率を考えた時に
暗記した日を起算に、翌日・4日後・7日後…などを目安に反復をすると定着しやすいというのを聞いたことがあります。それは自分の体験からも事実だと思います。
が、それはあくまで【少ない時間数で効率よく暗記・定着を図りたい場合】のベストなタイミングです。
なので、当たり前ですが、毎日継続して反復することが可能なのであれば、もちろんその方が定着までのスピード・技能の向上が早くなります。
なので、試験直前の期間に如何に時間を確保できる人や自分をとことん追い込め・集中できる受験生であればあるほど、相対的に合格までに必要な総時間数を少なくすることができると思います。
加えて、受験直前にまとまった学習時間を確保できるメリットはもう一つあります。
【試験当日に自身の実力のピークを持ってきやすい】
という点です。
コンスタントなペースで学習することが、決して悪いことでも非効率なわけでもないです。
ただ、常に同じペースで走り続けていると自分のコンディションやモチベーション、実力のピークを試験当日に合わせるのは難しいです。
ゴールに向けてラストスパートをかけ、最高速度でゴールテープを切るために、受験直前期は集中的に取り組む時間と環境を確保できれば試験当日に実力全てを発揮できる可能性が高まります。
僕はこの受験直前の集中学習が、100時間分の長期学習と同じぐらいの成果だったんじゃないかなと実感しています。
学科試験の過去問対策では、どんどん出てくる新知識を吸収し、吸収したそばから、また別の過去問を解く際にアウトプットされ、知識の定着がなされていく…という黄金サイクルができあがります。
実技試験対策では、模範解答から仕入れた表現やフレーズ、前線解析やトラフ解析、作図のコツやノウハウなど、やはり新たな経験と知識をインプットし、それを活用して次の過去問を解き、吸収したそばから強化・アップデートされていく…という黄金サイクルがやはり出来上がります。
なので、あなた自身の生活や立場、計画と相談してみて、少しでも総学習時間を削減したいのであれば、受験直前期にまとまった時間を確保することをお勧めします。
素直さ
気象予報士試験合格において、性格による向き不向きがあると思います。
優柔不断や完璧主義、頑固さは特に気象予報士試験合格において邪魔な性格だと思っています。が、長くなるので性格に関しては、後日別の記事にまとめます。
ひとまず、もっとも得する性格の【素直さ】についてふれます。
気象予報士試験は、素直な人ほど合格が早いです。
特に実技試験において…
・問題文を読むとき
・模範解答から記述センスや言い回しを学ぶとき
・作図をするとき
・天気図や衛星画像を読み解くとき
・記述をするとき
実技試験におけるほとんどすべての場面で
【素直でいること】を心掛けてください。
・聞かれたことだけに素直に答え
・模範解答を素直に吸収し、自分のレパートリーとボキャブラリーの一つに加え
・図やグラフ、画像の読み取りも、うがった見方をせず素直にそのまま読み解く
・作図も与えられた条件を元に、ただ素直に作図する
これができずに実技試験を苦戦する受験生が大変多いです。
気象学に詳しくなればなるほど、問題文で問われていること以上のことについつい着目してしまい、点数が取れない、書きすぎてしまう、難しく考えすぎてしまうことは、よくある失敗談です。
これができずに実技試験を苦戦する受験生が大変多いです。
また、模範解答の納得のいかないフレーズや言い回しを素直に受け止められずに、むだな時間を使ってしまったり、自己流の記述を試験合格のための記述に切り替えることに上手くいかず合格が遠のく一因になります。
僕は気象学も理系知識も素養がなく、0からのスタートで、且つ頼れるものもテキストしかなかったのも幸いし、自分の知識や表現の誤りやニュアンスの違いをすんなり受け止めることができ、この点では苦労しませんでした。
なので、ほかの受験生に比べて20時間ほど学習時間数の削減に貢献してくれたかなと思います。
と、このあたりが、合格までに必要な総学習時間の増減に影響する項目なんじゃないかなと思います。
まとめ
これまでの内容から合格に必要な学習時間に関してまとめます。
学科試験合格のために必要な時間数
学科試験は一般・専門それぞれ、平均的な学習能力の受験生の場合
少なくても100時間~150時間の学習が必要だと思います。つまり両方合格のためには、この倍の時間数が必要になります。
ただ、これでも、試験本番の問題との相性と運がよかった場合に合格できるギリギリラインかなと思います。
どんな問題でも安定して合格点を取るにはさらに学習時間を上乗せして
150~200時間は見積もったほうがいいんじゃないでしょうか。
もちろん、正しい学習方法で継続的に学習を行った場合です。
※なお過去問等の演習など、問題を解くためだけの時間も込みです。
※あくまでそら坊の独断と偏見に基づいています、一つの参考として捉えるだけにしてくださいね。※
実技試験合格に必要な学習時間
実技試験で合格するために、平均的な学習能力の受験生であれば、実技試験対策のみの学習時間で
少なくても200~300時間ぐらいは見積もっていただくべきだと思います。
ただこれもやはり、試験本番での問題の相性や運によっては合格できるかどうかのギリギリになってしまうと思います。
安定して合格を目指すには300~400時間ぐらいは見積もったほうが良いと思います。
もちろんこれも正しく継続的な学習ができたうえでの話です。
※過去問演習等、問題を解くためだけの時間も含めてです※
※あくまでそら坊の独断と偏見に基づいています、一つの参考として捉えるだけにしてくださいね。※
完全合格に必要なための学習時間
上記を元に考えましょう。
学科両科目合格のために300~400時間。
実技合格のために300~400時間。
これらを足して600~800時間。
となりますね。
意外と1000時間というのも間違いではないかもしれませんね。
1000時間かかる覚悟で取り組み、短い学習時間ですめばラッキーと考えたほうがよいかもしれませんね。
勉強の苦手な方や、慣れていない方、ブランクのあるかただと1000時間近くかかるor1000時間をオーバーしてしまうかもしれませんね。
と、いうことで、以上がそら坊の独断と偏見、そして体験に基づいた【気象予報士試験独学合格に必要な学習時間数】に関してでした。
一つの参考にしてみてください。