7こちらの記事は第55回試験直前に掲載しましたが、毎回の試験で共通して言えることなので、各試験毎タイトルだけ修正して上げなおしています。記事内では回数が合わないことがあるかもしれませんが、気にせず次回試験に向けてだと考えてお読みください。
次回試験まで3ヶ月ある今だからこそすべきこと
気象センスを磨こう
突然ですが質問です。
風速15ktがどれぐらいの風の強さかイメージできますか?
イメージできる受験生はかなり少ないと思います。
次の質問です。
1~12月、各月の典型的な地上天気図をイメージできますか?
これもあまりピンとくる受験生はいないと思います。
言葉として定義はしにくいのですがテキストではなく日々の気象とのふれあいで磨ける・養えるような気象に対しての体感や感覚のことを
気象センス
と、僕は勝手に読んでいます。特に正式な用語ではないです。
この気象センスは気象予報士試験合格に向けて【必ずしも必要ではありません。】
ですが、このセンスがあるかどうかで、試験本番での難易度の体感や日々の学習効率に大きな差が生まれます。
ただ、センス不足を努力や学習、時間数によって補い合格することはできます。
実際に僕も受験生時代は気象センスのない方で学習で補っていました。
が、いつも気象センスがあればもっと楽なのにな…と思っていました。
試験対策において気象センスが及ぼす影響
気象センスがあることで大幅に点数が上がったり、気象センスがないせいで合格が絶対にできなくなるといったことはありません。
が、気象センスがあると日々の学習でも試験本番でもよい影響が生まれます。
- 日常学習の効率UP
- 主に文字情報での解説が中心になるテキスト学習で、各文章から気象状況をイメージしながら学習していくことで本質的な理解につながり、学習効率が向上します。
- 試験本番での解答速度と正答率の向上
- 各設問における気象状況や気象条件の文章による説明を素早く・正確にイメージすることによる、回答精度と速度の向上。
- 気象センスによって、与えられた条件や状況から、出題パターンや頻出事項・重要事項を類推することで、問題着眼点や回答ポイントを素早く・正確に見いだせる。
気象センスがない分は、努力と演習量や対策量で補うこともできますが、センスを磨いておくと、より楽に合格に近づけます。
僕が気象センスを磨かずに受験してしまった3つの原因
そう思いつつも、僕がなかなか気象センスを磨くことができなかった原因は三つあります。
原因①:気象への興味
一つは気象自体にあまり興味がなかったということです。
元々気象が好きな人であれば、日々天気予報を見たり天気図に触れたりと、自然と気象センスは養われていくのですが、気象に興味のない受験生は意識的にそういった情報に触れる時間を作らないといけません。
就活や転職、気象キャスターになるためなど、【武器として】この資格が欲しい受験生には、気象にあまり興味のない方もいると思います。
僕もそのうちの一人です。というか、でした。
気象予報士になると嫌でも気象に関心を寄せてしまうので前ほど無関心ではないです。
しかしこの気象センスは
すぐには身につきません
原因②:短期間では身につかない
毎日いろいろな天気図に触れ…
現役の気象予報士の解説を聞いて…
日々の風や雨、気温や湿度等の体感を実際の数値と紐づけ…
なんていう、小さなコツコツした気象との触れ合いによってすこしずつ気象センスは養われていきます。
しかし、短期での独学合格を目指して学習していたので、どうしても即効性のあるテキスト学習や過去問演習を優先してしまっていました。
これがそら坊がなかなか気象センスを磨けなかった二つ目の理由です。
………はい、僕は合格まで1年かかっています。
その一年で身に着けられなかったのか?という疑問・意見は非常にもっともです。
が、言い訳させてください。
原因その三.気象センス不足を痛感するタイミング
これが一番の理由だと思います。
最初から親切な誰かが【受験には気象センスがあったほうが有利だよ~、しかも身に着けるのに時間がかかるよ~】と教えてくれていたら、僕はもっと受験に向けて早い段階から気象センスを磨くための時間を学習の一環として作っていたと思います。
が、そんな親切な人はいませんでした…😢
そんな僕が、気象センス不足を痛感した瞬間が…
【過去問対策で伸び悩みを感じた瞬間】
でした。
受験対策は最初のうちは知識を覚えて問題に慣れてくれば来るほど点数が上がってきます。
が、どこかで必ず伸び悩みが来ます。
質が悪いのは、その伸び悩みは【一通り実力が身についた後に顕在化する】という時限爆弾みたいな性質を持っている点です。
で、その伸び悩みを迎えるのは大体【試験1ヶ月前~直前】だったりします。
計画的に学習できている受験生ほど、試験本番に実力のピークを持っていけるように学習しているので、その傾向は強いです。
自画自賛ではないですが、僕も実技試験対策に一通り慣れてきて順調に点数が伸びてきていた試験一か月前ほどの時期にこの伸び悩みに出くわしました。
うわ…、僕って気象の勉強はしているけど、気象や天気を何も意識せず生きてきたんだな…
と痛感しました。
非常に焦りました
なぜ焦ったかというと、気象センスは受験日まで残り1ヶ月弱の状況で養えるものではないと察したからです。
気象センス不足に気づいたときにはすでに手遅れな時期・残り時間だった
これが、一番の原因です。
気象センスは必ずしも必要ではない
上にもちらっと書いていますが、気象センス不足は努力・演習量・勉強方法で補えなくはないです。
実際に僕も気象センス不足の状態で合格できたので、それは間違いありません。
が、ここを磨いておけるともっと楽に合格できていただろうな…。
と今でも思います。
気象センスがある人 | 気象センスがない人 | |
風速35ktの矢羽根を見る | うわ、結構強めの風吹いてるな~ | 風速35ktか ⇩ 30~40ktは強風以上暴風未満だったはず※1 ⇩ 結構強めの風が吹いているな |
1月の日本海の 筋状雲に関しての出題 | JPCZ・ポーラーロウが原因かな? ⇩ やっぱり! JPCZに関して記述しよう。 | この天気図のどこをみればいいんだ? ⇩ 日本海で風の収束があるぞ。※2 ⇩ ここで対流雲が発生している。 ⇩ 筋状雲の原因はこれか~※2 |
といった感じで、気象センスがあるのとないのとでは、同じ結論にたどり着くまでの速さと正確さが異なってきます。
特に※1のところは、知識や暗記で補うことができるのですが、その分暗記量が増えますし、記憶違いのせいで誤った回答をしてしまう恐れも出てきます。
また、※2のところでは着眼点を見誤ったり、原因を正しく論述できず点が思うようにとれないという原因にもつながります。
1秒を争う気象予報士試験で気象センスがあるのとないのとでは大違いです。
記述問題で1点でも多く点数を稼ぐ…
回答時間を少しでも短縮し時間内に完答できるようにする…
このために気象センス向上は欠かせません。
僕はそこら辺を全部暗記と演習で補ってきましたが、はっきりいって非効率です。
しかも試験対策としての【勉強】と捉えるとどうしてもモチベーションが上がりません。
気象センスは日々の生活の中にちょっとした習慣を足すだけで磨いていけます。
その方が気楽ですし、とっつきやすいです。
次回試験までまだ三ヶ月あるので、磨く時間も残っています、この記事を読んでくれた受験生は、是非、次回受験までに気象センスを磨いていきましょう🤗
気象センスの磨き方
で、肝心な気象センスの磨き方ですが、それほどたいしたことではありません。
①日々、天気予報をチェックしよう。天気図に触れよう。
やはり、一番の王道といえば毎日の天気予報をチェックすることです。
もちろん、その日の各地区の天気や気温を予報してくれる短期予報をチェックしてもいいですが、欲を言えば朝のニュース番組で現役の気象予報士が天気図を元に解説してくれているのを見るのが一番です。
それぞれの予報の根拠を天気図や衛星画像を元に解説してくれています。
しかも
これは典型的な冬の気圧配置で山雪型といって~
だったり
例年に比べて太平洋高気圧の張り出しが弱く~
なーんて感じで、その日の天気図がその季節を象徴する代表的なものかどうか、珍しいものかどうかなんていう説明までしてくれます。
テキストを一人で読むより何倍も効果的です、しかも無料。
11月から1月にかけては、移動性高気圧や冬型の気圧配置、日本海側の大雪やシベリア高気圧なんていうワードが出てきますね。
これからニュースで見れるのは主に秋冬の気象ですが、日々天気予報に触れているうちに天気図や気象に関する考え方が育っていき、秋冬だけでなく春夏も含め、気象全体のセンスが磨かれるはずです。
また、第55回試験だけではなく第56回試験の受験も検討している受験生は、秋冬の天気予報にリアルタイムで触れられるのは今がラストチャンスなので、是非今のうちから天気予報をみる習慣をつけていきましょう!!
※ラジオでもOK※
テレビよりもハードルは上がりますが、ラジオでもOKです。
ただ、言語情報のみで天気図を頭に思い浮かべることができないといけないので、テレビよりも難易度はかなり高いです。
逆を返せば、ラジオから等圧線の配置や天気図をイメージできるレベルまで達していれば十分合格に必要な気象センスは備わっていると判断してもいいと思います。
②空や雲を見る、雨や風の数値を調べる。
これも王道ですね。毎日空を見上げてみてください。
どんな雲が空に浮いているかチェックしてみて、自分の気象知識と照らし合わせてみて下さい。
気象庁HPの実況天気図のページでは、【アジア太平洋域】天気図において天気記載の天気図をチェックすることができます。
※【日本周辺域】の天気図には天気記号は記載されていません。
気象庁HP➡https://www.jma.go.jp/jp/g3/asia_c.html?area=jp&time=20110509
空に浮かんでいる雲とテキストで学んだ知識をきちんと紐づけてあげましょう。
慣れてくると出題された天気図の天気記号に記載されている雲形記号と全雲量を見ただけで、実際にその地点から空を見上げた時の映像がイメージできるようになってくるはずです。
そして、天気は雲だけではありません。
雨に打たれたとき…
風に吹かれたとき…
雪に降られたとき…
是非、アメダスをチェックしてみましょう。アメダスも気象庁HPから確認できます。
・30ktの風速でどの程度の風圧を感じるのか…
・時間雨量30mmってどのぐらいの強さで雨が降るのか…
気象センスを磨くには、体感した気象を現象を実際の数値データでみてみるのが一番です。
特に雪が降ったときはチャンスです。
雪が降った時の天気図や地上・高層の気温は?
湿っぽい雪・さらさらした粉雪どちらか?
雪、みぞれ、ひょう、雨etc…のどれに分類されているのか。
などなど、体感してみてわかることが目白押しです。
しかも、晩秋~冬しか雪は観測されません。
雪が降ったらアメダスのチェックを怠らないようにしましょう。
そして、雪の降らない九州・沖縄の受験生は、雪の降った地域を天気予報で確認出来たらその地域のアメダスを必ずチェックしてください。
僕も九州出身だったので、九州地方の受験生は特に応援しています…。
③各地の災害情報・防災情報をチェックする
気象予報士試験では災害や防災に関わる出題が年々増え、配点の比重も大きくなってきています。
大雨警報や波浪警報などの各種気象警報や注意報
土壌雨量指数や表面雨量指数などの指数情報
各種メッシュ情報や降水ナウキャスト等々
実際に試験で使われる図や表、指数が災害時にどのように活用されているかを実際にリアルタイムで確認しましょう。
これもやはり気象庁HPで確認できます。
特に防災情報に関しては国民の生命や財産を保護するために気象庁が頻繁にアップデートしてくれています、より細やかに手厚い情報となっているのですが、その分学習する側は難しくなっていくのでテキスト学習だけで理解するのは難しいです。
警報や注意報のでた地域があれば、今後それらの防災情報やシステムがどのように活躍していくかをきちんとチェックしましょう。
と、いうことで天気予報と気象庁HPのチェックは受験まで欠かさず習慣化していきましょう❕❕
ちなみに気象庁HPに関しては以下の記事にまとめているのでチェックしてみてくださいね。